医療DX シリーズ / FAQ・用語集(リファレンス)

FAQ・用語集 — 医療DX/LISクラウド化 横断リファレンス

シリーズ8ガイドの論点を横断した Q&A と用語集、導入準備チェックシート。社内説明や提案の場で「1枚で渡せる」持ち帰り資料として使う。

医療DX シリーズ: 目次 ① 工程表 全体像 ② 法規制対応と技術要件 ③ 受注資格 ④ セキュア実装 データインテグリティ AI 活用 移行 FHIR/JLAC11 ★ FAQ・用語集(本編)

この資料の使い方

シリーズ各ガイドは深い。だが現場では「1枚で渡せる物」が要る。本編は (1) 頻出疑問を Q&A 化したFAQ、(2) 略語・専門用語の用語集、(3) 各ガイドのチェックリストを集約した導入準備チェックシートの3部構成。各回答は元ガイドにリンクしているので、深掘りはそちらへ。

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1FAQ(よくある疑問)

法規制・データ保護

クラウドに患者データを置くと、3省2ガイドラインの何を満たす必要がある?
厚労省の安全管理ガイドライン第6.0版(令和5年5月)+ 経産省・総務省の事業者向けガイドライン第2.0版(令和7年3月)の両方。電子保存の3原則(真正性・見読性・保存性)と、外部サービス利用時の安全管理・委託先管理が要る。→ ② 法規制対応と技術要件
「クラウド例外」があれば委託先の監督義務は無くなる?
無くならない。第三者提供・委託への該当性を整理する論点で、クラウド事業者を委託先として監督する義務は残る。→ ② 法規制対応と技術要件
検査結果は個人情報の中でどう扱う?
要配慮個人情報。取得に原則本人同意が必要で、第三者提供は制限。オプトアウト提供は不可。→ ② / AI 活用編

標準・相互運用

FHIR はどのバージョンを使う?
HL7 FHIR R4(4.0.1)。日本は JP Core 実装ガイド(v1.2.0-a、2025年)が R4 をベースに国内プロファイルを定める。→ FHIR/JLAC11 実装編
JLAC10 と JLAC11、どちらを使う?
厚労省は JLAC11 を推奨。JLAC10(HS014 臨床検査マスターで定着)と当面は併行運用だが、データ統合・2次利用を見据え新規は JLAC11 を主に。→ FHIR/JLAC11 実装編
「3文書6情報」と「2文書5情報+患者サマリー」は何が違う?
前者は電子カルテ情報共有サービスの政策上の打ち出し、後者は FHIR 実装ガイド JP-CLINS の実装パッケージ。健診結果報告書は健診 FHIR で別建て、患者サマリーが加わる整理。→ FHIR/JLAC11 実装編

移行・運用

稼働中の検査システムを止めずにクラウドへ移せる?
移せる。評価→PoC→並行稼働→切替→旧環境廃止の段階移行と、AWS DMS 等の継続レプリケーション(移行中も現用 DB 稼働)で、新旧の結果を突合して信頼を積んでから短時間で切替。→ 移行プレイブック
切替に失敗したら戻せる?
戻せる設計にする。事前に数値で決めたロールバック基準(結果が出ない/値が疑わしい/連携が落ちる)で即旧環境へ。旧環境は廃止前まで Retain で待機。→ 移行プレイブック

AI

生成AIに患者データを入力していい?
要注意。要配慮個人情報の第三者提供・学習利用に当たりうる。入力前の非識別化、学習させない設定(法人/API+契約)が前提。消費者向けサービスに患者情報を貼らない。→ AI 活用編
AI を製品に組み込むと医療機器になる?
診断・治療の判断に用いる出力を持つなら、プログラム医療機器(SaMD)該当の可能性。薬機法の対象。該当性は PMDA の該当性相談で確定。→ AI 活用編
AI の継続学習は薬事的にどうする?
変更計画確認制度(IDATEN)。承認時に変更計画を示せば範囲内改良を事後届出で対応。市販後の性能監視+性能低下時の自動停止が前提。→ AI 活用編

受注・体制・データインテグリティ

案件受注に最低限必要な資格は?
ISMS(JIS Q 27001:2023 + 追補1 :2025)、プライバシーマーク、ISMAP 等が中心。必須・実質必須・加点の必須度別に整理して計画取得。→ ③ 受注資格
データインテグリティでは何を担保する?
電子保存の3原則を国際原則 ALCOA+ の9属性に分解して担保。中でも監査証跡(誰が・いつ・何を・なぜ変更したか、旧値→新値を無効化できない形で)が心臓部。→ データインテグリティ編
クラウド化のコストはいくら?
コスト構造(コンピュート/ストレージ階層/転送/マネージド/運用人件費)の分解とオンプレ更改との TCO 比較で考える。金額は前提依存のため「レンジと考え方」で。→ TCO 採算試算編(準備中)

2用語集

用語意味
LIS臨床検査部門システム(Laboratory Information System)。検査・細菌・病理の部門システム。本シリーズの主対象
3省2ガイドライン厚労省「医療情報システムの安全管理ガイドライン 第6.0版(令和5年5月)」+ 経産省・総務省「事業者向けガイドライン 第2.0版(令和7年3月)」の総称
電子保存の3原則真正性(書換え・消去・混同の防止+責任所在)・見読性(直ちに見読・出力可)・保存性(保存期間中の復元)。電子記録の品質軸
ALCOA+データインテグリティの国際原則。Attributable/Legible/Contemporaneous/Original/Accurate + Complete/Consistent/Enduring/Available の9属性。FDA 由来、PIC/S PI 041 で体系化
ER/ES指針厚労省「医薬品等の申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」(平成17年)。電磁的記録を3原則で整理。米 21 CFR Part 11 の日本版
21 CFR Part 11米 FDA の電子記録・電子署名規則(1997年)。監査証跡・電子署名の具体要件を規定
監査証跡いつ・誰が・何を・なぜ変更したか(旧値→新値)を、対象記録と同じ寿命で・無効化できない形で残す記録。DI の心臓部
WORMWrite Once Read Many。一度書いたら変更不可の保存(例:S3 Object Lock)。原本性・改ざん防止に使う
要配慮個人情報個人情報保護法上、特に配慮を要する情報。病歴・検査結果等の医療情報が該当。取得に原則同意、第三者提供制限
次世代医療基盤法医療データの研究開発利用の枠組み。改正法は2024年4月施行で仮名加工医療情報を創設
仮名加工医療情報他情報と照合しない限り個人を特定できないよう加工した医療情報。匿名加工より緩く、認定事業者経由で利活用可
SaMDSoftware as a Medical Device。医療目的のソフト=プログラム医療機器。薬機法でクラス分類・承認/認証
IDATEN変更計画確認制度。承認時に変更計画を示せば範囲内改良を事後届出で可。AI 継続学習の薬事ルート
PCCP / GMLP米 FDA の AI/ML 医療機器の枠組み。PCCP=事前変更管理計画、GMLP=Good Machine Learning Practice
EU AI ActEU の AI 規則(Regulation (EU) 2024/1689、2024年8月発効)。医療機器組込み AI は高リスク。適用時期は変動中
AI事業者ガイドライン総務省・経産省。第1.1版(令和7年3月)。AI の開発者・提供者・利用者の指針(事実上の標準)
HL7 FHIR医療情報交換の国際標準(R4=4.0.1)。REST API+JSON。日本の医療DXの相互運用基盤
JP CoreFHIR を日本の臨床に合わせた実装ガイド(v1.2.0-a、2025年、JAMI)。プロファイル集
JP-CLINS電子カルテ情報共有サービス向け FHIR 実装ガイド(v1.11.0)。2文書5情報+患者サマリー
JLAC10 / JLAC11臨床検査項目分類コード。JLAC10 は HS014 臨床検査マスターで定着、JLAC11 は厚労省推奨(データ統合・2次利用向け、併行運用)
UCUM検査値の単位を機械可読に表す国際標準(mg/dL 等)。FHIR の Quantity で使用
DiagnosticReport / Observation / Specimen検査を表す FHIR の3リソース。報告全体/個々の結果項目/検体
電子カルテ情報共有サービス国の医療機関間情報共有の仕組み(2025年度稼働)。HL7 FHIR で共有。検査情報も対象
ISMS / ISMAPISMS=情報セキュリティ管理(JIS Q 27001:2023+追補1 :2025)。ISMAP=政府情報システムのクラウドサービス登録制度
OWASP ASVSWeb アプリのセキュリティ検証標準(5.0、2025年)。L2 を「安心ライン」に。④で実装
AWS 7Rクラウド移行の7戦略:Rehost / Replatform / Refactor / Repurchase / Retire / Retain / Relocate
MGN / DMS / DataSyncAWS 移行サービス。MGN=サーバ移送、DMS=DB移行(現用稼働のまま)、DataSync=大容量ファイル転送
並行稼働 / カットオーバー並行稼働=新旧を同時稼働し結果突合で信頼を積む工程。カットオーバー=本番を新環境へ切り替える瞬間
検体検査の精度の確保改正医療法(2018年施行)による検査の品質・精度管理の基準。ISO 15189 と接続

3導入準備チェックシート

各ガイドのチェックリストを集約。提案・社内検討の前さばきに。印刷して使う。

ABOUT

本シリーズは、医療情報システムの開発・クラウド化を手がける X Harumi が、公的な一次資料を根拠条項まで遡って再整理したものです。AI 活用支援・業務効率化・DX 推進・システム開発を提供しています。

最終更新:2026-05-25 / 次回レビュー目安:2026-08-31 / © X Harumi